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路線バスの乗り継ぎ割引を考える

皆さんは、鉄道を利用して外出をされる際、さほど長距離の移動ではないにも関わらずそれがたまたま別の鉄道会社社の路線を乗り継ぐことになった場合、各々の鉄道会社に支払う運賃が生じることで、一つの路線で完結する場合と比較して割高感を感じることはありませんか。この場合、鉄道事業者同士が事前に設定した区間を移動する場合に限って、乗り継ぎによって生ずる割高感を解消させるため『乗り継ぎ割引運賃制度』が一部適用されることがあります。

利用者にとっては嬉しい制度ですが、そもそも一つの事業者の路線であるなら運賃も高くならないし、なぜ様々な事業者の路線が入り乱れているのかと考える方もおられるでしょう。これは、交通インフラといえども日本国内ではヨーロッパ諸外国のように政府あるいは地方公共団体が公共サービスとして交通手段を用意するのではなく、時の政府による方針や歴史的経緯により事業効率性や創意工夫が期待される民間事業者により交通機関が運営されるのが多数派となっているからです。それゆえ、各企業による事業展開の経緯から同じ市内であっても地域ごとに交通事業者が違うのは勿論のこと、鉄道、バスの事業者が違うということもままあるという形になっているのです。

市民・利用者サイドからすれば交通手段を選ぶ前に、目的地によってはすでに事業者が限られている-このことが自由な行動を考える上での課題ともいえます。
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横浜市では90年以上も前、1910年代から市の公共政策として交通事業を行う部局が置かれており、路面電車から地下鉄へと変遷はあるものの鉄道とバスが一体の機関として運営されてきました。これにより交通手段を乗り継ぐ運賃の割引も定期乗車券に限られますが設定されています。他の政令市の事例を見ると、仙台市や大阪市等、交通局が設置されている都市では横浜同様の割引制度が設定されており、さらに定期券利用のみならず単発利用の場合においても乗り継ぎ割引が適用され、市民・利用者本位の運営が行われています。

このように乗り継ぎ割引運賃制度は鉄道と鉄道、あるいは公営交通の鉄道とバス、というように限られたパターンで適用されてきましたが、ここにきて横浜市内においてもバスとバスの乗り継ぎ割引運賃が適用される事例が増えてきました。2002年(平成14年)の路線バス事業に関する規制緩和に伴い事業者の経営判断によってこれまで一路線で運行していた系統を途中の区間で分割して運行したり、撤退する路線が出てきています。従来は一乗車で行けた区間に乗り継ぎが生じたときに、利用者への救済策として乗り継ぎ割引運賃が適用されるというケースが多いようです。

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神奈川中央交通バス紅葉橋停留所(栄区)では2017年(平成29年)3月から一定の時間内にICカード乗車券を利用して乗り継いだ場合に割引運賃が適用されるようになりました。これについては、同地域の住民の皆さんによる運動の成果により適用に至ったと報道されています。利用者が支払う運賃は単にバス運行の諸経費に当たるだけではなく、地域のバス路線を支える意味合いもあります。先述の通り地域内での移動で乗り継ぎが生じた時の割高感を解消してほしいというのも正直な気持ちかもしれません。

皆さんのまわりにも、バスの運賃について不満をお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。また、バスには乗らないから関係が無いということもあるかもしれません。本事例のようにバスをまちの公共財と捉えて地域の住民が関心を持ち、バスを使いやすくした運動はもっと注目されて良いと考えています。

先に述べた横浜市営地下鉄と市営バスにおける乗り継ぎ割引運賃制度についても、他都市に続き単発利用であっても割引が適用されると利用しやすくなるでしょう。さらに使い勝手が良ことで利用者も増え、バスの本数も増える好循環が生まれれば、外出のしやすいまちとなることでしょう。皆さんが暮らすまちでは路線バスにどのような課題があるのか、どうすれば利便性を高められるのか、身近なまちづくりを考えるきっかけとして、ご家族皆さんで、あるいは町内会や自治会等の話し合いの席で子どもや若者も交えながら一度話し合ってみては如何でしょうか。

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